「オーダーパンプス」を買うなら知っておきたいこと
2021.11.29
私たちが「靴屋」だから、なのかもしれませんが、近ごろ、「オーダーパンプス」と呼ばれるものの、販売や宣伝が目にとまることが増えたなあ、と思います。
「オーダーパンプス」需要の高まりは、
足の長さだけでなく、幅や厚みなど、一人一人、それぞれに違う足のサイズや形状に対して、既成靴だけで対応することの難しさや、足に合わない靴がいかに身体に悪い影響を与えるかが、徐々に知られてきたということの表れかもしれません。
身体に合う靴の大切さを訴え続けてきた私たちとしては、とても嬉しいことであります。
ただし、一言で「オーダー」と言っても、
フルオーダー、セミオーダー、パターンオーダー、サイズオーダー、など様々にあり、それぞれ意味合いが異なるということは、あまり知られていません。
簡単に言えば、このような違いがあります。
オーダーシューズの種類
フルオーダー
お客様のためにすべてを1から作る、まさに「フルオーダー」。
木型から作るため、時間も手間も最もかかります。
セミオーダー
あらかしめ用意されたいくつかの木型から、足に合うものをセレクトし、
それをベースに、足に合わせてカスタマイズしながら製作。
フルオーダーよりはリーズナブルになります。
パターンオーダー
あらかじめ用意された木型から、足に合うものを選び、製作。
制作したものを、さらに調整することもあります。
色・素材や、細かなパーツを選ぶことができます。
サイズオーダー
完成品の靴だが、注文してほしいサイズを頼めるもの。
フルオーダー=100%最高?
足に合う確率が高いのはフルオーダーですが、
ではフルオーダーであれば、全員に確実に足に合う最高で完璧なものかといえば、
決してそんなことはありません。
キッドの小さいサイズや大きいサイズを調べて訪ねてきてくださるお客様からも、「既成靴ではサイズがないので、この際フルオーダーを、と作ったけれど、なぜか足に合わなくて全然履いていない」、という声はたくさん聞きます。
※フルオーダーでとても素晴らしいものももちろんあります。
フルオーダー。でも完璧でないのはどうして?
フルオーダー=良いもの
と思われていますが、必ずしもそうでないのはどうしてか?
靴そのものの構造も、足の構造も複雑で、
「足に合う」とはどういうことなのか、そもそもが大変難しい問題ではあります。
フルオーダーを作る時、足のデータ通りに靴の木型を作るわけではなく、足のデータに肉付けして、木型としての形を生成する必要があります。
この時、足のデータにどう肉付けするかが、作り手のスキルやノウハウ、これまでの経験によって、大きく変わってくるのです。
実際の木型として、良いように肉付けができなければ、いくらデータがあったとしても、結果として、履いて足に心地よい靴にはなりません。
その点既成靴は、実際に履かれてきた実績を元に改良が続けられているので、むしろ大はずれすることは少ない、というようなこともあります。
つまり、
「オーダー」 = 注文を受けてから作る、という意味なだけであって、
オーダーだからといって、必ずしも、それぞれの足に合うかどうか、脚や身体の構造をとらえた、必要な機能性が備わっているかどうか、という保証はありません。
靴にとって、「オーダー」よりも大切なこと。
「良い靴とはどんな靴か」これは簡単そうに聞こえて、とても難しい質問です。
サイズが合っていること、デザインが気にいること。
そして何よりも、「靴としての基本的な、そして本質的な機能性が担保されているか」ということが、実はとても重要なのです。
「靴としての基本的な、そして本質的な機能性」とはいったい何か。
細かくあげればキリがありませんが、いくつか例をお話しします。
✔︎ 例えば、踵のグリップ力。
歩いているときに、パンプスの踵が抜けてパカパカなったご経験はありませんか?
それは靴の踵部分がしっかりと足をホールドできていないからです。
踵部分の形態や素材、踵の内側に入っている芯材(カウンターと言います)などによって、ここの体感は大きく変わります。購入時は見えない部分ですが、例えばカウンターが紙製だと汗を吸ってしなしなになりますし、カウンターのサイズが小さいと支える力が弱くなります。
✔︎ 例えば、靴の型崩れしづらさ。
少しきついかな、という靴を試着した時に、店員さんから「履いているうちに伸びるので大丈夫ですよ〜」と言われたことはありませんか?
全体重を支える靴は、履いているうちに伸びたり、足の形に合わせて形が変わってきます。
履きやすくなる部分もありますが、伸び切ってべろんべろんになると、足を支えるはずの形状が意味をなさなくなってしまいます。きちんとした本革などを素材に使用することで、足に合わせて伸びつつ、もどってくる力も持っていて、ちょうどよくホールドし続けてくれる、ということが大切です。
✔︎ 例えば、足に合わせた靴の曲がり方。
歩くときには、足裏が曲がって地面を蹴り出します。このときに、足が曲がる位置よりも前すぎたり後ろすぎたりといった位置で折れるようになっている靴も多いです。歩くときの足の曲がり位置に合わせて靴底が曲がってくれるかどうか、もポイントの一つです。
まだまだたくさんありますが、伝わりやすい部分をいくつかご紹介しました。
「オーダー」ではあるけれども、「靴としての基本的なクオリティがとても低い」残念な靴が増えていて、私たちはこの状況を大いに危惧しています。
靴に馴染みが薄ければ、「オーダー」と聞けば「素晴らしいもの」「自分に合わせた完璧なもの」とイメージしてしまうのは当然です。
こうしたイメージ先行で、基本的な部分のつくりが荒い「オーダー」シューズが目につくのです。
レディースキッドは、「i/288」というオーダーシューズを採用していますが、オーダーできるサイズ展開が288種類と、世界で類をみないほど豊富であり、かつ履き手がライフスタイルに合わせて、デザインやカラー・素材を選ぶことができるだけでなくて、靴としての基本的なクオリティがとても高く、かつそのクオリティのばらつきが極力ないような仕組みを作っている、ということが大きな理由の一つです。
言い方を変えれば、i/288は、多くの方に高いクオリティを安定してご提供できる、というのが、とても大きな魅力です。
「基本的なつくりの良さ」を見分けるチェックポイント
どうか、この記事をここまで読んでくださった「オーダーシューズに興味があるな」と思ってらっしゃる方は、靴としての基本品質を、簡易的にでも見分ける意識を持っていただければと思います。
あくまで目安ですが、簡単なチェックポイントをこちらに記載します。
・踵部分が自分に合う形にしぼれていて、ある程度の硬さがあるか
踵の形は最も見分けやすいポイントの一つです。
・素材が柔らかすぎないか
お好みで柔らかいものも良いですが、柔らかい分伸びていってしまい、せっかく自分の足に合わせて作っても、フィット感は失われていく方向です。
・前後で捻れない程度の剛性があるか
靴のつま先部分と踵部分を持ってぐにゃりと捻れるような靴は、足の蹴り出し位置や曲がり位置を支えられていないことになります。
あたりは、絶対に手にとってチェックしてみていただきたいです。
オーダーシューズの一種であるi/288を扱っている靴屋として、あえて言います。
元々の靴のクオリティが高く、かつご自身の足に合うものかの見極めがある程度できていれば、フルオーダーでなくても、もっと言えば既成靴であっても、しっかりとした靴調整とインソール調整で、相当に個別化され、ご自身の足に合わせて必要なサポートをできる靴になります。
つくりの荒いフルオーダーを履くよりも、よほど快適で機能的です。
それくらい、基本のつくりの良さは、靴としての性能の土台になりますし、それを元に、千人いれば千通りある足のサイズや形状に合わせて調整することが重要なのです。
▼合う靴の選び方について、もっと詳しく知りたい方はこちら。
まとめ
・靴としての基本的な、そして本質的な機能性が担保されていること
・それぞれの靴の特性を理解して、適切な靴を選ぶこと
・その上で、足に合わせた調整ができること
「オーダー」という言葉だけで決めずに、
正しくお客様の足を測って
足ごとの特性を見て
適切な靴をお勧めして
必要に応じて調整できるスキルをもっている、
ちゃんとした提案・調整ができる靴屋かどうかも含め、一度考えてみていただけたらと思います。
ここまでやれて初めて、本当に足に合う靴を提供できる環境だと考えています。
足の計測や気になる点、ご不安など、いつでもレディースキッドへご来店ください。
計測は無料です。
少しでもお悩みや気になる点がある方は、以下よりご予約くださいませ。
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