足から始める身体のトータル・コンディショニング
2022.08.03
株式会社キッド・代表取締役、シューカウンセラーの小堤です。
今日は、なぜ靴屋が「身体のトータル・コンディショニング」について口を酸っぱくしてお話ししているのか、また、なぜ足から・靴から始める必要があるのか、その辺りのことをお伝えできればと思います。
実は、私は長らく武道の鍛錬を続けてきました。
武道の鍛錬をやっていると、「強くなりたい」「上手くなりたい」と当たり前ですが思うわけで、そのためには、効率的に身体を使う必要がありました。
・スピードが必要
・パワーも必要
かつ
・特に相手がいる場合は相手の動きに合わせてなど、臨機応変に変化・対応できる応用も必要
・観る目も必要
…と、要素がたくさん、複雑に存在しています。
言うなれば、武道を志しているうちに、必然にかられて
・身体とはどういうものか
・身体を使いこなして、パフォーマンスを最大にするにはどうしたらよいのか!
を追求するようになりました。
身体については、古今東西、様々な方法論やメソッドがあり、それぞれ参考にはなります。
しかし結局のところ、外から自分を見られるわけではなく、もちろん人にやってもらえるわけでもなく、自分の身体をコントロールするためには、「自分で自分の身体について考えるほかない」ということに気がつきました。
結果、
「自分自身の身体感覚というものを、自分が感じ取れるようになること」
「自分自身の身体感覚を、身体についての客観的な知識や、身体相互の関係性の中で体系づけること」
がとてもとても重要であるということに行きつきました。
この身体感覚と知識が無ければ、「自分で自分の身体をコントロールする」というところには、どうやってもたどり着きません。
師匠や鍛錬仲間の動きをよく観察し、形を真似るといったような見た目から入るアプローチは、最初の入り口としては大事だと思います。
しかし、形式的な形をトレースすることだけに囚われてしまうことがとても多く、本質的な要素を見失いがちです。
「自分自身の身体感覚」
すなわち「体性感覚」
という感覚に自覚的になってから、ようやく自分の目指すところがはっきりと見えてきたわけです。
体性感覚は重要
ここでは「体性感覚」という言葉を使っていますが、「感覚」という言葉から、「あやふやそうだなあ」「確かなものなのかなぁ」という感想を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
自分の感覚というのは、主観的なものであるのは間違いなく、ゆえに「それは真に正しいのか?」という問いは、常に考えておく必要があります。
しかし、自分で自分の身体感覚を意識し、平常状態を分かっていれば、それを基準の状態として、変化があったときに気づくことができます。
「こんな感じで動けば良い」と思えていたら、動きはかなり無意識に近づいています。
理屈や動きの外観を常に思い出しながら動作するというのは、動いている時には難しいものです。
特に相手がいる競技では、何パターンもある相手の動きのたびに、いちいち頭で考えていたのでは、あっという間に置いていかれてしまうことでしょう。
(むしろ、相手がいる競技ならば、別の要素が必要となりますが、それは今回のお題ではないので、また別の機会に、マニアックに語りたいと思います。)
こんな感覚で動けばよい、はかなり無意識に近づいてる。
理屈と外観(を自分でイメージする)を、動いているときに常にというのは・・難しいです…
特に、相手がいる競技では。(むしろ、相手がいる競技ならば、別の要素が必要となりますが、それは今回のお題ではないので、また別途)
最終的に、無意識に動けるまでに身体に動きを刷り込むとしても、
「この感覚なんだ!」と感覚ベースでの実感がしっかりとあることは、とても強力なガイドになります。
と、ついつい武道や格闘技の経験になぞらえて話してしまいました。
競技のパフォーマンスとしての話だけでは、一般の方には遠く、関係のない話と思われるかもしれませんが…
体性感覚、身体の感覚に自覚的であれば、
それはすなわち、不調を自覚できることに繋がるわけです。
最近よく「未病」という言葉を聞くようになりました。
人生百年時代といえ、重篤な病気や障がいになるリスクは私たちのすぐそばにあります。
健康診断を受ければ、一定予測することはできるかもしれませんが、四六時中検査をすることは不可能ですし、健診の種類によっては見つからないこともあるでしょう。
日々の中で、自分にとって良くない状態を認知し、こうしたものの予兆を捉えられるようになっていただきたいなと思うのです。
本当の意味で健康をコントロールするためには、
自分自身の感覚に耳を傾けること。
というと、かなり精神論に寄った考え方に聞こえますが、武道や格闘技をずっとやってきた私の場合は、自分自身の動きを中心に考えるために、体性感覚をちゃんと拾うこと。
体性感覚がどのような状態なら、動き、パフォーマンスが良いということになるのか、に気がつくことに繋がります。
であればそれを目標にしてブラッシュアップしていけばよい
ということがシンプルに明確になるのです。
筋肉が痛い、とか関節が痛い、とかであれば多くの人が気づくとは思うのですが(それであっても、それをどれだけ繊細に感じられるかに違いはありますが)
内臓が…などを、痛いとかではなくとも違和感を感じられる
となると、日々の健康管理にはこれほど良いことは無い。
少し大げさに言えば、食べたものによる影響を
身体でより敏感に感じることができれば良いと思います。
・・・
ちなみに、不調、という観点で書いたけれども、
快・不快、という観点でも同様で、
自分が、これくらいが調子が良い・快適だと思っていることも、
実はもっと上もある、と言う風に思っていただくとよいでしょう。
マッサージしてもらったら、快適、
でももちろん、効果は限定的、かつ減衰する…
それを普段から、自分で少しでもコントロールできたらよいですし、その目標値があると、はやくそこに辿りづけたりします(言ってみれば、イメージするだけでも変わります)
靴
さて、ここまで身体にフォーカスしながら体性感覚を内観する大切さをお話ししてきました。
それだけでも良いのかな?と思うところもあるかもですが…
靴はとっても大事です。
なぜなら、身体の基礎となる、足部のアライメントの崩れは、いくら強度なトレーニングを行ったとしても持続的な変化が非常に難しいものだからです。
・ぴったりと合った靴
・場合によってはインソールでの微調整
などによって、アライメントを正しい位置に近づけるように、または不要な動きがしづらいようにサポートしてあげるということが、日常生活の中では必要です。
靴は毎日履くものですので、そういう意味でもサポートツールとしては抜群です。
逆に言えば、どんなにアライメントをよくしようとしても、意識していなければまた崩してしまう、とも言えます。
足が良い状態でなくても、悪い状態の足を基準として、それに合わせて身体全体は動こうとする。
すなわち、ますます悪い状態の身体の使い方になってしまい、理想的な身体の使い方からは遠ざかってしまうのです。
・・・
現代は、体性感覚をそもそも持ってない方がとても多いです。
そこは意識して、訓練していくことが必要ですね…
もしも最初、わかりづらかったら、それだけ体性感覚を働かせずにいた、と思って頂くと良いかもしれません。
コツコツとやってみれば、きっと変化が表れてきます。
その意味でも、「自分の体性感覚を持ち、自分で自分を整える」「セルフコンディショニングの方法を知って実践する」という継続するループをどのように作れるか。
ここがほんとうに本質的だなあというのが長年やってきて思うところです。
こうしたセルフコンディショニングを実践・継続できるメソッドをお伝えする講座を準備中です。
どうぞ期待してお待ちください!
キッド代表取締役
小堤